建設業界で働く人、働きたい人を全力で応援!“即戦力”となる技術者を育てる

建設業界で輝く人を育てることがライフワーク

柏工業専門校「iワークかしわ」

岡本 佶

建設業界で働く人、働きたい人を全力で応援!“即戦力”となる技術者を育てる

千葉県柏地区の事業団体が認定職業訓練校として設立し、職場で即戦力となる技術者の育成と技術向上を目指す柏工業専門校「iワークかしわ」。今回は建築士として働く傍ら、昭和57年から自らも指導にあたられている副会長兼校長の岡本佶さんにお話を伺いました。

昭和45年から続く千葉県柏地区に根ざす職業訓練校

 
——柏工業専門校について教えてください。
 
柏工業専門校「iワークかしわ」は、千葉県柏地区の複数の事業団体が構成している認定職業訓練校です。
 
現在は建築とITが中心で、特にCADを学ぶコースが人気ですね。基本的な建築の知識を学ぶことができ、さらにCADは資格を目指すことのできる授業構成になっています。それから、建設業界の人材不足解消のために国からの委託を受け、毎年3ヶ月の期間で建築を網羅的に学べる授業を1コースか2コース、行っています。フォークリフトやユンボなど重機の資格取得を目指す方も多いですね。
 
 

柏駅西口から徒歩約15分のところにある柏工業専門校「iワークかしわ」
 
——柏工業専門校はいつから始められたのですか。
 
昭和45年の4月に、千葉県からの補助と柏市からの土地の提供を得て、この地域の建築関係の人たちによる共同出資で設立しました。建築関係の会社で働く社員教育を目的として始めたんです。設立当初は、管工事や縫製など、今よりももっと学科が多かったですね。
 
私は昭和56年頃から指導員として携わっていたのですが、平成24年頃に打診をいただき、前任の方から引き継ぐ形で校長になりました。当時から講師を勤めている者は、私だけとなってしまいました。
 
 

自らも建築士として、長年建設業界に携わっておられる岡本校長
 
——岡本さんは、これまでどのようなキャリアを築いてこられたのでしょうか。
 
ずっと建築業界ですね。最初は2年間ほど現場に出ていたのですが、そのあと設計事務所に入って2年目に資格をとりました。その後は10年ほど事務所に勤めたのですが、昭和56年に個人で始めました。現在も個人の設計事務所を開設して活動していますよ。
 
実は、講師をする場合を除いて、訓練校で活動されている方のほとんどがボランティアなんです。
 
 

これからの建設業界は女性の活躍に期待

——受講されている方の年齢や男女比はどのくらいですか。
 
職業訓練としてご応募いただく方は年齢の高い方もいらっしゃいます。ただ、年齢の高い方の場合、体力的に厳しいという理由から途中でリタイアされたり、病気や怪我などでお休みされたりすることも多かったんです。そのため現在、再就職を希望される方は65歳まででご遠慮いただいています。
 
現在の平均年齢は、年々上がってきていて40代中頃くらいです。下は高卒の10代から、上は職業訓練などの委託だと65歳、自費で受講される方は40代後半くらいですね。
 
男女比は、2:8くらいで女性が圧倒的に多いです。どのコースも10人いたら男性は1人か2人ほどしかいません。日中の授業が多いことも影響していると思います。夜のCAD講座だとだいたい5:5くらいになりますが、夜のコースはなかなか生徒さん自体が集まりにくいですね。
 
 

取材に伺った日も、自習をされている訓練生さんがいらっしゃいました
 
——建設業界に興味を持つ人たちの傾向に変化は見られますか。
 
女性が確実に増えていますね。増えているけど、どこから入って、何から始めればよいのかなどのとっかかりを見つけることが難しいのかな、という印象もあります。同時に、学ぼうという姿勢は非常に高くなってきているように感じます。
 
先日、DIYをテーマに公開講座を行ったのですが、そこでも女性が多く参加されていました。DIY自体がとても流行っていることもあり、主婦の方も簡単なリノベーションをされることが多くなっているようですね。今後、女性が建築を学ぶための大事な接点となるかもしれません。公開講座の中には、親子向けのものづくり教室もあり、お子さんと一緒に椅子や箱を作ることもできます。でも、だいたい大人が夢中になっちゃうようですね(笑)
 
これからも女性をはじめ、皆さんが建築を身近に感じられる機会を作っていきたいですね。
 
それから、大工という仕事を選ぶ若い方も増えています。最近もうちの学校のホームページをご覧になって、お母様と一緒に見学に来られた高校生がいらっしゃいました。熊本地震をニュースで見て、「熊本城を自分も直したい」と思い、宮大工に興味を持ったそうです。高校を卒業後、ご紹介した会員さんの会社で働きながら、うちで学科を2年間しっかりと勉強をされる予定ですよ。
 
 

厚生労働省から「ものづくりマイスター」として認定されている建築大工を3名も輩出している
 
 

ただ「好き」というだけでは、建設業界で働くことは難しいのも事実

——指導側から見て、建築業界で求められているのはどのような人材だとお考えですか。
 
やっぱり見ていると、まさしく好きこそものの上手なれだなと思いますよ。建築を好きだっていうのが一番大事じゃないでしょうか。
 
例えば、CADに夢中になって時間が経つのを忘れて没頭してしまうような方もよく見かけます。そんな時、指導している側は訓練生自身が納得して理解するまで待つことが大事だと思って接しています。自分でしっかりと考えてからやらないと、なかなか身に付かないものですから。
 
——興味を持っても、CADは難しいイメージがあります。
 
私自身、60歳になってからCADを学んだんですよ。それまで設計図はすべて手書きでやっていたんだけど、仕事上でどうしても身に着けた方がいいなと思って勉強したんです。今考えてみると、もしCADを身に着けていなかったら、この仕事を続けられていなかったなと思いますよ。何歳でもやる気さえあれば、できます。だから安心して踏み出して大丈夫ですよ。
 
——「建築が好き」ということが大事なんですね。
 
そうですね。ただ、好きということだけでは、仕事として継続できるかどうかを見極めることが正直難しいです。以前は2年間の授業を受けて、その道に入るっていう人ばかりでした。しかし、今はCADを学んでも、その先、建設業界で働くかどうかわかりません。職業訓練を受けてから、運送などの別業界に行く人が多いのも現状です。短期間で学んだだけだと、向いているかどうかまで見抜けないところがありますよね。だから、好きということだけでなく、その先の成長意欲や目標も大切なことかもしれません。
 
だから、CADに興味を持って入学された方には、CADの資格取得を目指すための指導だけでなく、建築や建物の基礎を学ぶための『やさしい建築学』の研修を無料で10日間行っています。興味を持ったことしか学ばないのではなく、建設業界に関する幅広い知識を身に着けていただき、仕事としてできるのかどうかもしっかりと考えてほしいためです。それにこの研修で学んでおくと、仕事を始めてからもすんなりと用語がわかりますよ。また、意欲も高まるようで、合格率も非常に高いです。
 
 

 

CAD講座が「手に職をつけたい」と資格取得を目指す人に人気となっている
 
 

長年、指導を続けられているのは、人との繋がりを感じられる仕事だから

——こうして約35年、本業の傍らで指導を続けていらっしゃる理由はなんですか。
 
やっぱり、性格かもしれませんね。この学校に携わっている人は面倒見の良い人が多く、ボランティア精神も強いんですよね。
 
例えば、試験前になると「あと何日か追加で教えたい」という講師も多くて、試験前の一週間はほとんど無料講習ですね。だから、受験される皆さんもそれに応えようと毎日練習しに来ています。今は試験の難易度も上がってきているので難しくなりましたが、昔は校内の合格率100%の検定も多かったんですよ。
 
また、ここで資格をとった方たちが指導員の資格も得て、ここで教えるようになっているんですよ。そうやって良い循環が生まれているんだと思いますね。
 

 

試験科目となる実技練習が可能な部屋もあり、自分が納得するまで練習ができる
 
——この先、柏工業専門校「iワークかしわ」はどのように展開されていきたいですか。
 
まずはこの学校の認知を上げることですね。本当に建設業界で働いている人、働きたいという人を全力で応援している学校なので、意欲的な人を沢山迎え入れたいです。
 
今は初心者だけでなく、「CADのもっと便利な使い方を知りたい」と勉強される方も多いです。一般的な設計士さん向けのCADの使い方と、図面作成専門のCADオペレーターとは使い方が違うんですよ。設計士さんは建築物を考えながら使うんですが、CADオペレーターという仕事の場合はスピード感がないといけません。だから、実際にCADオペレーターとして仕事している人が伝授するテクニックを学ぶと、即戦力になるんです。CADのみに限らず、建設業を生業にしている人たちが教えていることを活かして、これからも即戦力になる人材育成に力を入れていきたいですね。
 
それから講師の育成も重要ですね。どこの訓練校でも、働いてくださる講師をみつけることに最も苦労するみたいです。私も早く若い世代にバトンタッチできるよう、新しい人たちを育てていかないといけません。
 
——岡本さんにとって、柏工業専門校「iワークかしわ」で働くことでのやりがいは何でしょうか。
 
一番は人の繋がりですね。何よりも卒業生たちが集まってきてくれるのは嬉しいですね。一人前に働いていたり、中には会社を起こしている方もいたりして、仕事で繋がることもあります。やはり人の縁は素晴らしいなと思いますよ。
 
——建設業界で働きたいと思っている方にメッセージをお願いします。
 
自分の携わったものが実際に街にできていくというのは、建設業界ならではの仕事だと思います。何ともいえない感動がありますよね。私は建築士なのですが、自分が描いた図面をもとに、少しずつ形になっていく工程が非常に面白いです。
 
最近は、新しいものを創るというだけでなく、リフォームや改修も興味深いと思いますよ。古い建物を再生させていくって、とても魅力的だと思いませんか。壊して新しいものを創るだけではなく、古くても良いところを活かし、新しいものを創り出していくのは面白いんじゃないかな。
 
違った視点でいくと、建設業界においても新しい働き方が今後増えていくと思います。特に、CADオペレーターなど場所を選ばない仕事であれば、さらに女性が活躍すると思っています。CADの仕事は、子育てや介護などで外で働けない女性たちが夢中になれるものだと思います。もちろん性別は問わず、男性でも女性でもね。
 
会社を変わっても、仕事の内容を変えない働き方をしていれば、経験をずっと積んでいくことができます。経験ってすごく大事なので、そういう働き方を今の若い人たちも目指していけると良いですね。
 
まずは興味を持ったところから始めて、途中で諦めずに目標に向かってコツコツ続けていけば、必ず建設業界で輝く人になれると思います。何か困ったときには是非、うちの学校に相談してくださいね。
 
 

岡本 佶

職業訓練法人 柏地区共同職業訓練協会
柏工業専門校「iワークかしわ」副会長 兼 校長
 
▶︎  柏工業専門校「iワークかしわ」
HP:http://www.kashiwa-kougyou.ac.jp
 
千葉県柏地区の事業団体が認定職業訓練校として職業訓練協会を構成し、各事業所の従業員の能力の開発・技術向上を図ることを目的として設立した柏工業専門校「iワークかしわ」。建設業界で仕事をする人、仕事をしたい人を応援し、職場で即戦力となる技術者の育成と技術向上を目指しています。