
勤続37年!電気工事のプロフェッショナル
橋本電気株式会社
五十嵐哲三
電気工事士として働いて37年、苦難を乗り越えながら続けられたモチベーションとは
「明るい生活環境の創造」をモットーに創業以来約60年電気設備の専門業者として歴史を築いてきた橋本電気株式会社。その実績が評価され、大手ゼネコンからの受注が7割以上に上るといいます。今回は橋本電気株式会社一筋の五十嵐哲三部長に、“電気工事の仕事の魅力”や“長く働く上で大切なこと”についてお話を伺いました。
創立以来約60年の間、技術の向上に努めてきた電気設備の専門業者
——橋本電気株式会社の事業内容について、教えてください。
電気工事をはじめとし、電気工事の設計や施工管理が主な仕事です。具体的な流れとしては、まず、営業から積算をして契約を結びます。そのあと、設計事務所の方たちと打ち合わせをして施工図を作成。それをもとに職人さんが現場で施工し、官庁検査や設計事務所の検査を受けて竣工します。その後も現場を引き渡しておしまいではなく、時間が経過して出てくる不具合などもありますから、1年目検査、2年目検査を行うなど、お客様と接点を持ち続けています。さまざまな検査の中で得られる気づきが、次の現場でもまた活かされるんですよ。
電気工事専門で60年続く橋本電気株式会社。会社の倉庫にはさまざまな備品が置かれています。
——五十嵐さんのお仕事内容を教えてください。
私の部署は、内線工事部といって主に本工事を担当しています。うちの会社では、グループ制を採っていて、各グループ4人ほどのメンバーがいます。その中でグループ長となる主任が他のメンバーの定例会議に必ず参加するようにし、メンバー1人だけに案件を丸投げするようなことはせず、主任や私がサポートする形で進めています。今まで1人で担当している場合、その現場が動いている間は担当者はなかなか休めなかったんだけど、グループ制を採ることで現場を把握している主任がフォローできるからしっかりと休むことができるようになったんですよ。
——現在、五十嵐さんは部長職とのことですが、これまでどのようなキャリアを築いてこられたのでしょうか。
私、橋本電気一筋なんですよね。高校で既に電気の専門を学んでいましたが、その後2浪して大学の機械工学科に進みました。24歳の時に橋本電気株式会社に入社して、すでに定年を迎えているのですが、今もお世話になっています。
——学生の時から“建築関係に進みたい”という気持ちがあったのでしょうか。
親父が電気の職人さんだったんですよね。ただ、職人さんだと体力勝負のところが大きいので、施工管理などをできるようになって、公官庁などの大きな仕事をしたいと考えていました。二人兄弟なのですが、兄も電気に携わる仕事をしていますよ。やはり親父の影響は大きいと思います。
「潰しが利く人間になれ」その言葉で伝えたいこと
——働く上で、大切にされていることはありますか。
新入社員が入ってきたら、必ず最初に言うのが「潰しが利く人間になれ」ですね。潰しが利く人間になれば、どこに行ったってメシが食えるんです。だから常に勉強して、腕を磨いていかないとダメですよ。それができないと、どこの会社に行っても何をしてもダメなものはダメです。壁にぶち当たってしまったときに、乗り越える力がなくなってしまう。
——五十嵐さんご自身、たくさん壁を越えてこられたのですね。
壁を乗り越えていかないとメシが食えないし、家族も養えない。そういった意味で家族を持つというのは、パワーの源だと思いますよ。やっぱり、メシを食わせていかなきゃならないという人ができると、仕事との向き合い方も変わってきます。
それでも、30代終わり頃に受け持った現場が一番大変だったな。今までで一番規模が大きかったので、当時の通産省から受ける大きな検査のために半年間くらい休みがありませんでした。検査のための準備と立ち入りチェック、そして書類の提出がずっと続いていくんですよ。特に、施工図通りかどうかをひとつひとつ測っていくので、常に気が気ではありませんでした。
「胃に穴が開く思いだったよ」と大変だった経験も、今では笑顔で語る五十嵐さん。
“この会社で良かった”会社一筋を決めた理由とは
——数々の経験を積むことが大切なんですね。
経験がものをいう特殊な職業ですよね。昔は今のように資格も整備されていなくて、電気工事士くらいしか免許がありませんでした。だからすべて現場で学ぶしかなかったんです。ただ、ゼネコンや職人さんとの人間関係などは、本じゃ学べませんからね。だから、たくさんの現場を経験できたことが良かったと思いますよ。
でも、自分の経験をもとに今は現場代理人の流れをまとめていて、一通りの仕事内容を社員に伝えています。大枠でも掴んでもらえていれば、現場に出たときに理解が深まると思うしね。それに今は資格も増えて電気だけを勉強するのではなくて、建築基準法や消防法などの勉強も必要です。でも、資格が整備されて、最低限必要な知識を全員が同じように持てるというのは、良いことだと思います。今も昔も変わらないのは、人間関係だけは本じゃ学べないから、経験が重要だということかな。
経験でいうと、学生時代に「なんでこんな勉強してんのかな」って思うときがあったけど、社会に出てみると「ああ、あのとき勉強してたものがこうだな」と思うことも多かったです。勉強だけじゃなくて、大学のときにクラブで音楽関係のステージマネージャーをしていたんだけど、その段取りの仕方が仕事の現場でも役に立ったね。何がどこで役に立つか分からないから、たくさんの経験を積むことが大切だと思いますよ。
——今までの経験を活かして、また新たな経験を積んでいくんですね。
そう。失敗すると、結局は自分の身に降りかかってきて、辛いのも自分だからね。いかに仕事の上での危険を予知して、リスクを回避するかが重要です。それに経験を積んで勉強した分だけ、仕事が速くなるわけですよ。そうやって効率よく仕事をすればするほど、自分の時間や家族との時間もとれます。
そういう意味で、私はうちの会社に入って良かったなと思っています。何から何までやらせてくれる会社だから、経験をたくさん積むことができました。橋本電気一筋の理由はそこだと思います。経験がない人は、現場に行って職人さんに一から教えてもらう。本ばっかり読んでいても、結局のところはわからないからね。現場という世界を味わって、どういうふうにして現場を作って、どういう材料を使って、どういう施工方法で現場が完成していくかをしっかりと理解することが大切です。
橋本電気さんが施工したインド大使館。この他にもさまざまな施工事例がある。
昔も今も、時代を超えて求められる人材とは
——今までのご経験の中で、たくさんの方と接してこられたと思うのですが、橋本電気株式会社が求めている人材はどのような人ですか。
結局は今も昔も変わらなくて、ありきたりなんだけど前向きな人ですね。それに健康であることかな。この仕事は体が資本だからね。最初にそれ以上は求めていません。長く働いていく上で、仕事に対してさらに興味や関心を持って、突き詰めて考えていけるようになってもらいたいなと思います。最初から応用できる人なんていないから、一人前になるためには十年かかるという気持ちで働いていかないといけませんね。
それに、一種電気工事士も学科に受かってから、電気会社に5年間勤めない限り免許が交付されません。それだけ電気工事というのは事故が起きたら大変な仕事なんだよ。だからこそ前向きに、少しずつ進んでいかないといけないんです。
古くから会社を支えているベテラン社員さんも多い橋本電気株式会社。
——五十嵐さんご自身も今まで前向きに少しずつ進んでこられたと思うのですが、この先はどのような進み方をされたいとお考えですか。
うーん、食べていければいいんじゃないの。高望みしない。こういうことをやりたいって言うよりは、目の前にあるものを大切にしていく。まずは継続させることが重要だね。
——そうやって継続していくために、モチベーションとなるのはどのようなことでしょうか。
今、橋本電気株式会社では、現場代理人を育てることが急務だと思っています。現場代理人って、現場においてはその会社の社長の代わりみたいな仕事だから、1億円とか大きなお金を任されることが多い責任ある仕事です。これって本人にとっては大きなモチベーションになるんじゃないかな、と思います。だからこそたくさんの経験を積んで、たくさん勉強して、どんどんスキルアップしてほしいね。
あとは、街を歩いていて「あれ、俺がやった現場だよ」と言えるのは建設業に携わる人だけの特権だよね。自分のやったことが、後世まで残るっていうのはとても嬉しいことです。それに、形として残るだけじゃなくて、経験をしていくについれて、自分の気持ちの部分で得られる達成感もどんどん大きくなるんだよね。細かい作業プロセスでは見なくなって、現場全体としてどうだったかという広い視野で見られるようになる。重箱の隅をつつくように小さいところをいちいち気にするのではなく、ゆくゆくは結果的にトータルで良ければ良いという気持ちでやっていかないとね。
五十嵐 哲三
橋本電気株式会社 内線工事部 部長
▶︎ 橋本電気株式会社
HP:https://www.tact-construction.com
電気工事の専門業者である橋本電気株式会社。「明るい生活環境の創造」をモットーに創立以来約60年の歴史で築いた信頼関係から7割以上は大手ゼネコンからの受注とし、直接取引による第一次下請けとして、日々努力を続けています。