文系大学生が志した建設業界、会社と個人の成長のために着実に進む

山留めに魅せられ、教員志望から建築業界へ

株式会社タクト

鈴木勇気

文系大学生が志した建設業界、会社と個人の成長のために着実に進む

創業以来、土木建築の山留工事を中心に様々な工事を請け負う株式会社タクト。企業理念「Good Solution」には、お客様だけでなくその先のお客様の事業活動を支えるという意思が込められています。具体的にはどのようなことを目指しているのでしょうか?教師を目指していながらも建設業界に挑戦した営業部の鈴木勇気さんにお話を伺いました。

建設・土木の基礎工事である「山留め」専門の建設会社

 

―タクトさんの事業内容について、教えてください。
 

一言で言うと、「山留め」です。山留めとは、建物を建てるときに最初に行う工程のひとつです。私たちは建設の仕事といっても、家やビルのような箱モノを建てるのが仕事ではなく、建てる前の基礎工事を専門に行っています。
 

例えば、もともとあった建物を壊して他の建物にしようとした場合、既存の建物を壊して搬出し、更地にします。そして場所によっては、杭が刺さった状態になっているのですが、それを引き抜かないと、次の建物を建てることができません。
 

そのため、土を掘る必要があるのですが、土を掘ると、掘ったところにどんどん掘った土が流れ込んでしまいます。それが地盤沈下など周辺に大きな影響を及ぼしてしまうので、それを防ぐのが私たちのやっている「山留め」です。
 
 

―建物を建てる上で、大切な作業なのですね。土木でも同じように「山留め」をされているのでしょうか。
 
土木でも山留めや構台工事を行います。
構台工事とは、作業をする重機が現場に乗り入れられるようにするための台を作ることです。
 
例えば、高速道路は柱によって支えられていますが、その柱を建てるときには必ず山留めをします。そこで土を掘り起こすために重機の乗り入れが必要となるのですが、高速道路を新しく建てるところは山になっていたり、そもそも道路がなかったりする場所が多いです。
 
また、土を掘ると、地下6メートルくらいになってしまうこともあり、現場自体が地下になります。そのようなときも重機って現場に入れないですよね。そのために構台工事が必要になります。これも弊社で請け負っており、最近では高速道路や空港の移設などにも携わりました。

 
 

小学校の先生を目指す彼がみつけたのは、反発していた父と同じ建設業の道

 

―鈴木さんが興味を持たれたのは何がきっかけだったのですか。
 

株式会社タクトのホームページをたまたま見ていて、施工実績がとにかくすごいなと思いました。自分の知っているテーマパークや商業施設などが出ていて、どのように携わっているのか気になりました。そして、山留め工事という事業をしていることを知り、山留めについてたくさん調べました。そしたら、山留めが思ったよりも奥が深くて、さらに興味を持ちました。
 
街を歩いていて、安全鋼板という白い壁で覆われている工事現場をよく見かけると思うのですが、その中では必ず山留めをしているのだと思うと、とても身近なものであるとも感じました。それに、これほど沢山ある工事なら需要も高いのかなとも考えましたね。
 
また、建設現場で働くことに抵抗がある方もいるかもしれませんが、もともと私の父親が内装業で1人親方をしているので、現場に対しての偏見は何もありませんでした。
 

鈴木勇気さん
「実は小学校の先生を目指していた」という鈴木さん
 
 

―お父さまが建設業だから、この業界で働きたいという気持ちがもともとあったのですか。
 
それがまったく逆で、最初は反発心から建設業には行かないと決めていました。もともと教育学部で小学校の先生になる予定だったのですが、株式会社タクトを知り建設業界に興味が出てきたので、急なシフトチェンジとなりました。
 
 

―教育学部から建築業界とは、大きな変更ですね。ご苦労されたのではありませんか。
 
そうですね。ワードやエクセルが使えたくらいで、図面は読めないですし、CADファイルは全く扱ったこともありませんでした。最初はハードルが高いのかなとも思ったのですが、どの仕事に行っても大変なのは変わらないなと決心しました。少しは足しになるかと思い、自分でも入社前に勉強していたのですが、それは入り口の入り口でしかありませんでした。だから、ほとんど入社してから学びましたね。
 
実は、代表取締役の永野も会計学科を卒業している文系だったんです。私たちの仕事は、図面を書くことではなくて、お客様と接して、こういう風に施工したらよいのではないかという提案をしていくことなので、必ずしも全員が理系である必要はないのだと思います。規模にもよると思うのですが、文系のメンバーも一緒に成り立っているのが株式会社タクトのいいところだと感じています。
 
 

―様々な方が働いていらっしゃるんですね。社内の皆さんの役割はどういう構成なのですか。
 
正社員の中に職人もいますが、営業部長、工事部長、配車調整の人、経理、そして代表取締役という構成です。また、社員だけでなく、周りの協力会社さんの支えも大きいです。
 
例えば、大きい会社から仕事をもらったときには、協力会社としてたくさんの職人さんが現場に入ってくれています。その職人さんたちがよりよく仕事をするために、私たちはどういう規模でどのくらいの深さを掘って杭を打つのが良いかなど、図面をもとに現場に合った施工法を考えています。
 
 

大切にしている人との関わり方、社長の口癖

 
―一つの現場に、たくさんの方が動いているのですね。その人たちを動かす会社理念、大切にしていることを教えてください。
 
人と人との関わりで仕事が成り立っているので、そういったひとつひとつ小さなことを大切にしています。
 
例えば、騒音問題です。私たちのように毎日現場にいると、機械が出す音の大きさに慣れてしまうのですが、近隣の住民の方はそうではありません。近隣にお住いの方の中には夜勤の仕事をしている方がいて、昼間の貴重な睡眠時間に工事の音で起こしてしまうかもしれません。最近では工事現場に騒音表示もされていますが、数値云々ではなくて、その人にとってそれが騒音だと思ったら騒音なのです。
 
そこで、もし騒音に困っている方がいれば、施工の手順を変えたり、施工時間をずらしたり、どうしてもしないといけないという場合には、時間を指定して交渉したりと臨機応変に対応するのが私たちの役目だと感じています。自分たちの思い込みや常識をあてがわないようにして、お客様はもちろん、お客様のお客様、またその周りの人々とも誠意を持って関わっていきたいと思っています。
 
 

―仕事をする上で人との関わりを大切にされているのですね。
 
代表取締役の永野が「One for all, All for one(一人はみんなのために、みんなは一人のために)」という言葉を口癖のように言っているのですが、職人さんたちが一人も怪我無く工事を行うことも株式会社タクトではとても大事に考えています。
 
一人が怪我をしてしまうと現場は止まってしまいますし、現場が止まることによってさまざまな問題が起きてしまいます。特に、事故は慣れによって起こることが多いので、各自の意識が大切だと思っています。
 
先日も高所作業車を立ち上げた状態で重心が上にある不安定な状態で走行してしまい、横転する事故がありました。高所だったので体に安全帯をかけていて、車が倒れることがわかっても逃げることができず、足の骨を折る怪我を負われたそうです。
 
職人さんたちは技術も経験もある方ばかりなので、自分なら大丈夫だという考えや、プライドを持っていらっしゃる方が多いとは思うのですが、周りからちゃんと注意を伝えて意識を変えていきたいです。
 
 

―具体的に行っている安全対策はあるのですか。
 
全員が安全第一の意識を持つために、現場での全体朝礼の後に株式会社タクトの協力会社だけでもう一度集まって注意喚起を行っています。例えば、新しい現場では杭を抜いたところなど地面がぼこぼこだったりして、うっかり資材を搬入しているときに穴に落ちてしまったり、躓いて転んでしまったりすることが考えられます。このように今まで起きた事故や危険なポイントを共有し毎日注意を呼び掛けることで、今後は過去に起きた事故を二度と起こさないようにしたいですね。
 
 

着実に進んでいく会社の未来、自分の未来

 
―タクトさんの今後の展開について教えてください。
 
現状では、株式会社タクトはそこまで大規模な会社ではないので、できることも限られています。施工に関しても協力会社の皆さんのサポートなしでは出来ません。そのため、今は人員不足の解消が急務だと思っています。人員不足を理由にやむなく施工をお断りしていることもあるので、まずはご依頼いただいたものをしっかりと承れるくらいに社内の職人の数を増やし、その次に施工管理者や経理などの人員も増やしていきたいと思っています。
 
ただ、職人は一気に増やしても育たないので、それぞれの親方の下につく人数を割り当てて、将来親方になっていく人を徐々に増やしていきたいと考えています。

 
実は、東日本大震災の時に応援要請があったのですが、承っていることで手一杯で向かうことができませんでした。その時の気持ちもあり、いざというときに割り振れる人員を抱えておけるように、事業を拡大させていきたいなとも思っています。

最近では技術の進化もあり、ウォーターフロントと呼ばれる海や大きな川などの土圧や水圧のかかる地域にも建設しています。また、豊洲やお台場などの埋立地や新しい土地開発や、耐震のために一定の期間が経ったマンションなどの建物を一度壊して新しくする工事も増えています。このように新しい仕事はどんどん出てくるので、会社を拡大させたいですね。
 
広い展開の中には、もちろん一部上場も見据えています。もともと代表取締役の永野がいた会社から独立した4つの会社が、この業界を牽引しているというのもあって私たちもそこを目指しているのです。
 

 

―鈴木さん個人の未来はどのようにお考えでしょうか。
 
自分の担当業務が営業と総務人事を兼ねているので、どちらもレベルアップしていきたいと思っています。もちろん同時には難しいので、まずは現場の施工管理技士の資格を取る予定です。土木の施工管理技士、建築の施工管理技士をとって、少しずつ知識を身に着けていき、最終的には図面をいじれるようになりたいです。
 

また、会社の拡大に重要な人の採用には人事がしっかりしないといけないと思っています。そこで、新入社員にも手伝ってもらいながら、総務人事にも力を入れていきたいと考えています。
 
 

人事担当として考える、一緒に働きたい人材とは

 
―人事担当として、どんな人を求めていますか。
 
もちろん経験者の方も大歓迎ですが、実際に山留めを知っている方って多くないので、特に今までの経験にはこだわっていません。
 

職人に求めているものは、ハキハキとしていて、欲を言えば、この業界に興味がある人。最初に私が感じたことと同じように、山留めってどうやっているものなのか興味を持っている人がいいですね。
 

実際の仕事をしていく上でも、どのように山留めをして、杭をどう打って、どの段階で根切りをして、どこで頭つなぎをしていくかというのを頭の中で組み立てていく必要があります。それを考えることが面白いと感じる方が入ってきてくれたらうれしいですね。
 

何も考えていないと工事って全然できないんですよ。良い施工方法を考えて伝えたとしても、職人の頭の中で組み立っていないと次の行動までにタイムラグができ工期が延びてしまったり、次に何が起こるかという危険予知も散漫になってきたりしてしまいます。
 

それから、普段は3、4人の班行動で動いていくので、周りの方たちとの人間関係も大切です。親方や先輩に教えて頂くという感謝の気持ちをもっていれば、より成長しやすいのではないかと思います。
 
 

もっと知ってほしい建設業界のこと

 
―建設業界に興味を持っても、なかなか踏み出せない人も多いと思います。
 
建築土木の業界に偏見を持っていらっしゃる方って多いように感じています。私は大学生の時に建設業界に進むことを決心しよく作業着を着ていたのですが、その恰好を見た方からいろいろな意見をいただきました。
 
特に職人は、あまり勉強していない人というイメージを持たれることが多いのですが、実は全然違います。誰よりも施工のことをしっかりと考えていて、知識や経験を積んでいる方が多いです。建設業界の仕事は、レベルアップすればするほど得られる対価も大きくなるので、モチベーションの高い方が多いのも特徴です。皆さん意欲があって前向きなことも、この業界ならではかもしれませんね。
 
結局、建設業界って、実際に現場にこないとわからないことが多いです。普段は安全鋼板で囲まれていて現場は見えないので、どうやってあんなに大きな建物を作っているかわからないと思います。だからこそ、少しでも興味を持った人がいたら、扉をたたいてほしいですね。
 
 

鈴木勇気さん
鈴木さんが話す表情から「山留め」の面白さが伝わってきます
 
 

伝えたい「山留め」の魅力と未来

 
―今回のお話をうかがって、山留めにも興味を持ちました。
 
私が大学の卒業論文を書くときに山留めに関してさまざまな論文を集めてみたのですが、最古の山留めは縄文時代にありました。当時は、建物を建てるための土台ではなく、単に土を留めることを土止め山留めと言っていたようです。土が崩れないように、何度までなら掘れるかを考えて、その角度の外に木をあてがい、崩れなくする方法があったようです。
 

江戸時代になり、江戸幕府は徳川家康が目をつけた佐渡金山を財政収支のもとにしていたそうなのですが、そこを掘っていくときに岩が崩れてくるのを防ぐために山留めをしていたようです。
 

歴史から紐解いていくと山留めって本当に興味深いなと思いますね。現代の工法自体は最近のものなのですが、山留めそのもの自体は古くからあるのだなと。昔からの考えを継承しているのだと思うと面白いですね。
 

また、最近では2020年に行われる大きな国際競技大会の会場が東京に決まったことによって、建物を建てるだけでなくそこまでの道も作るなど、建築土木同時の需要が高まっています。
仕事に波があることも多いといわれる建築業界ですが、建築にも土木にも携わる山留めは景気の良し悪しで左右されません。そういった意味で安定して仕事があるという点も、魅力かもしれませんね。
 
 
 

鈴木 勇気

株式会社タクト 営業部
 
▶︎  株式会社タクト
HP:https://www.tact-construction.com
 
タクトは重仮設工事業、土木建築の山留工事の施行および設計施工管理を行い、業界のニーズを常に事業活動の最優先事項に置き、高い市場主導型のソリューションを展開しています。